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第12話
上田さんが部屋を出てから、5分後。
勢いよく扉が開いた。
「那結菜!遅くなってごめんな!」
騒がしい父が仕事を終えてやってきた。
「お父さん遅い!……早く帰ろ」
「そうだな」
車まで話をしながら向かった。
車に乗って家へ向かう。
事件は解決した。
私の事件は解決してないけど。
解決しなくてはいけないと思う。
「那結菜……」
名前を呼ばれて運転席のお父さんを見る。
「どうしたの?」
「舞香ちゃんとは……仲直りしないのか?」
きっと、お父さんなりに触れるか触れないか悩んだのだろう。
「仲直りするよ」
「そうか」
そう言った父の声は安心しているように聞こえた。
家に着く。
「ただいまー」
いつものように言う。
もちろん返事はない。
部屋に入り、荷物の整理をする。
昨日は帰らなかったからだ。
荷物を整理してリビングへ行く。
すると、お母さんの写真の前でお父さんがお母さんに何かを話していた。
(もう少し後にしよう……)
ズキン――。
また、鋭い痛みが走る。
(明日はきっと体調崩すだろうなぁ)
そん気がする。
時間が経ってリビングへ向かう。
すると、お父さんがコーヒーを飲んでいた。
「那結菜」
私に気づいて声をかけてきた。
「ん?どうしたの?」
「上田さんがお礼にご飯でもどうかって言ってたけどどうする?」
(お礼って今日言っていたことかな)
「申し訳ないんだけど……」
「いいんじゃないか?」
「なら、お言葉に甘えて……」
お父さんが携帯から返信しているのでろう。
私も何か飲もうと思い冷蔵庫を開ける。
(りんごジュースがある!)
大好物があると嬉しくなる。
コップに注ぎ、お父さんの対面に座る。
「那結菜、上田さんがなに食べたいかって聞いてるよ」
「んー、どーしよ」
お寿司は好きだし、焼肉もいいけど、私の好きなファミレスもいいな、なんて考えていると笑い声が聞こえた。
「何?お父さん」
「いや……ごめんごめん。那結菜もお母さんもそうだけど、どこで覚えたんだってぐらい言葉遣いが綺麗だなって」
「いや、私の言葉遣いはお母さん似でしょ」
「お父さん似なわけないか」
そんなたわいもない会話を交わして部屋に戻る。
上田さんの質問は保留にして貰った。
明日ぐらいには、舞香に謝らなくてはと思って考えているといつの間にか眠っていた。
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