第12話

2/4
前へ
/38ページ
次へ
「うっ……」 頭に走る鋭い痛みで目が覚める。 窓を見るとカーテン越しでも分かるほど真っ暗だ。 頭元の時計を見る。 時刻は午前3時半。 (やるとは思ってたけど……本当にやったよ……) 体調を崩しそうな予感はしていたが、本当に崩すとは……。 そう思いながらも頭痛は収まらない。 布団から降りて、リビングへ向かう。 コップに水を注ぎ、薬箱から頭痛薬を取り出す。 薬を飲んで、部屋に戻る。 (あと数時間で治らないかな……) 今日は学校の日だ。 休みたくは無い。 目が覚めると、時刻は午前7時。 「やばっ!」 急いでリビングへ向かう。 水の音が聞こえる。 「お父さん!?」 気づいて振り向く。 「那結菜、おはよう」 「……うん。おはよう。お父さんどうしたの?起きてるなんて」 笑いながらお父さんは言った。 「起きてたら行けないか?」 「……行けなくは無いけど……」 そんなことより、と父は続ける。 「那結菜は部屋に戻って寝てなさい」 「……なんで……」 そこ、と言った父が指さしたのは机の上だ。 そこには昨日私が飲んだ頭痛薬のケースがある。 (あっ……) 「昨日の夜那結菜の方が先に部屋に戻って、お父さんが最後に部屋を出た時には頭痛薬のケースはなかったんだよ。つまり、夜中に誰が薬を飲んだ。だけど、お父さんではない。那結菜だろ?」 「ちゃんと刑事じゃん……」 刑事だよ、と突っ込まれる。 お父さんにそう言われたら部屋に戻るしかない。 部屋に戻って机の上にある手帳を出す。 付箋に貼ったあらゆるメモ。 そのメモは全て母に繋がることだ。 (お母さん……) 母は3年前に亡くなった。 事件となって。 犯人は見つかっていない。 母に関する事件の情報は見つからない。 すべてが謎のまま。 父は私に心配させない為に態度には出さないけれど、私より辛いはずだ。 私がお父さんの事件に関わるのはお母さんのことを調べるため。 犯人に関われば、何かしらの情報を手に出来ると思うから。 手帳を持って布団に入る。 あの日のことを思い出してしまう。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加