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部長である上田さんが協力をお願いしてきた。
協力を断るわけもない。
けれど、どこまでの範囲で動いていいのだろうか。
いくら上田さんからお願いされたとはいえ、限度がある気もする。
そんなとこを考えているとまたもや名前を呼ばれる。真田さんだ。
「那結菜ちゃん、分かったよ松田さんと海雲華は面識があったと同級生から証言を得たよ。」
(あれ…?今松田さんは大学4年生、海雲華さんは同級生…)
「真田さん、海雲華さんって人は松田さんと同級生だったんですよね」
「そうだね。松田さんが高校1年からバイトをしていて、そこで棚田さんが1年間ほど指導係に着いていたその時期に松田さんがバイト先としてすすめたそうだよ」
「そこから松田さんは今に至るまで同じコンビニでバイトをしています。」
「え、あ、うん」
分かりきったことを私が言ったからか、真田さんが、驚く。
私はお構い無しに続ける。
「海雲さんは、そのコンビニをやめているんですか?」
「えーと、辞めてるね」
「いつ頃ですか?」
「え、ああ、高校2年生の秋頃だよ」
「海雲さんは今どちらに?」
「……」
真田さんが黙った。
少し焦りながら手帳をめくっている。
「…ごめん、すぐ調べておくよ」
「すぐでなくても構いませんよ。私もゆっくり整理したいですし」
私がそう返すと真田さんが、ごめんね、と言ってから部屋を出た。
(人との関係って何かをきっかけにして変わるもの、なのかな…)
考えていると、上田さんが部屋にやってきて喋ることなく私の前の椅子に座る。
少しびっくりして背筋が伸びる。
少しの沈黙が訪れる。
だが、上田さんがその沈黙を破った。
「那結菜ちゃん、無理は承知でお願いしたいことがある」
悪い予感とも良い予感とも取れないものを感じる。
「なんですか?」
上田さんは言いずらそうにする。
「明後日…」
「明後日?」
上田さんの声のトーンが下がり、思わず聞き返してしまった。
「…実は、上からの命令でね、明後日がこの事件に俺たちが関わることの出来る期限なんだ…」
ああ、そういう事か。
「明後日までにこと事件を解決して欲しい、ということですね」
確かに無理を承知しておいて欲しい。
「…申し訳ない。こちらから協力をお願いしておいて、明後日までに事件を解決して欲しいなんて…」
「別に構いませんよ。もう少しで謎が解けそうなので」
私がそう言うと、上田さんは驚きが表情に出ていた。
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