龍神のモリヤさんにお願いしてみよう

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 ほのぼのと笑い合っていると、目の前の滝壺にドーンと水柱が上がった。  何事かと思ったら、手足を縛られた若い女が溺れている。 「またあの村か。滝壺で遊ばないでって言ってるのに」 「違うわモリヤさん、あれは雨乞いの儀式よ! 忘れたの⁉︎」 「あっ! そうだったそうだった。って、あの村また旱魃(かんばつ)始まったの? やだなあ、雨乞いなんかされても僕、うまく降らせる自信ないよ?」  モリヤさんは一度村を水没させたトラウマで、村にあまり雨を降らせなくなっていた。そのせいで、また今年も生贄が寄越されたようだった。 「美女を送ればいいってもんじゃないのになあ。僕ってそんなにエロい神だと思われてるのかな……傷つくなあ」  迷惑そうにモリヤさんが女を助けに行く。  やがて、二人がびしょ濡れで戻ってきた。 「どうも〜! 村一番の美女、ミツでーす!」  女は古風で日本人形のような見た目の私とは真逆のタイプだった。髪は派手な茶髪に染められ、肌はガングロで三重くらいのつけまつ毛をして、爪の一本一本には違う色のネイルをしていた。  これが村一番の美女?  村も方向性が変わったものだ。 「なんか、雨? 降らせてほしいんすっけど! つーかマジイケメンなんだけど。ヤバ! 超ウケる〜!」  モリヤさんはそんな彼女の顔を興味津々に見つめていた。  もしかして、私よりこんな女の方がタイプだとか言い出さないでしょうね? 「モリヤさん……」 「そのまつ毛、滝壺ダイブしたのによく取れませんでしたね?」  良かった、彼がボケで。
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