被害妄想の強いお母さん

-2-

　両親からはしっかり愛されて育ったんだけど、多分わたしが悪い、小中でがっつりいじめにあってしまった。

　このままではいけないと思い、高校は家から自転車で30分はかかる、それなりに遠くの進学校に入学した。

　と同時に、いじめられた原因はダサかったからだと分析して、高校デビューを機にイメチェンをはかった。髪をカラーリングし、重ための前髪は斜めに流して、分厚い眼鏡はコンタクトレンズに変え、制服はこなれた感じに気崩し、顔面はナチュラルメイクを施した。

　作戦は成功。友達にも困ってない。順風満帆な女子高校生ライフを謳歌している。

　の、つもりだったんけど、最近は学校に行くのが面倒で、朝、家を出たあと、そのへんで適当に時間をつぶして、午前10時前くらいになったら、こっそりと家に戻ってきている。

　制服のまま、ソファにどっかり座り、テレビをつけたり、スマホでＳＮＳを眺めたりしながら時間をやり過ごす。だけど、内心はどきどき、そわそわ。もし、もしも、お母さんが帰ってきたらどうしようと、不安で仕方ない。

　お母さんは朝からパートに出かけているので、まず戻ってくることはない。そうは言っても、今日に限って早上がりしてくるかもしれないし、とても優雅なサボりタイムを過ごせたものではない。

　午後1時くらいまでは、お母さんに作ってもらったお弁当を食べつつ、ゆっくりしているはずなのに、落ち着かない3時間を過ごし、せめて午後の2時間だけは授業に出ようと、重い腰を上げ、自転車を30分漕いで学校に行く。