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「ん……、なぁに?」
目を覚ました唯斗くんのお姉さんとバチッと目が合った。
彼女の向こう側には、壮真と唯斗くんが転がって眠っている。
相変わらずの汚部屋だけど。飲んでいた缶のお酒やおつまみのパックが、テーブルから落ちていないだけマシだよね。
「すみません、起こしちゃって……」
「いーの。そろそろ起きないと、仕事だし」
欠伸をしながら上半身を起こすその姿は、体の大きさもあってか男の人として目にうつって不思議な気持ちが沸き上がる。
「美麻ちゃん、どうしたの?」
「な、なんでもないです」
いつの間にか、涙が頬を伝って零れ落ちていた。手で拭っても拭ってもどんどん溢れる涙に戸惑いを隠せない。
ヤバイ。男共2人が目を覚ます前に泣き止まなきゃ。
もっと気持ち悪い人だったら良かったのにぃ。キモくて、生理的に受け付けない人だったら良かったのに。
彼女が私の背中に手を回して子供を慰めるように頭を優しく撫でてくれた。
昨日、会った時から触ってみたいと思っていた偽物の胸。いっそのこと、思い切り握り潰してやろうと考えていた。
その柔らかい胸が顔に当たって、女性らしい甘い香りに胸がグッと締め付けられた。
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