332人が本棚に入れています
本棚に追加
日が落ちる前の夕方。待ち合わせの場所につくと、唯斗くんと壮真とあと1人知らない女の人が立っていた。
年上で背が高くて綺麗な女の人。
「はじめまして、唯斗の姉でーす」
最初、壮真に見せ付ける為の女友達かと思ったけど。少し低めの声のトーン。彼の「姉」と言われて、すぐに「兄」だとピンときた。
「ごめんねー、美麻ちゃん。なんか、コイツおばけ屋敷行ってみたいってついてきちゃってさ」
「きゃー、女子高生だ!若ーい、肌もピチピチ!可愛いーー!!触っていい??」
唯斗くんの呆れた声に女の人の台詞が続く。
綺麗だけど、骨格、体の作りは男の人に見える。頬に触れた大きな手は骨ばっていて女性には見えない。
それでも、サラサラの長い髪に白い肌、丁重な化粧。指の動きや柔らかい笑い方。身に纏う雰囲気が清楚でしなやかで、大股を開いて座る穂波なんかよりずっと女性らしい。
全然、気持ち悪くなんてない。
「唯斗くんのお姉さん、綺麗ですねぇ」
「良い子!唯斗の彼女?勿体無ーい!!」
「違うよ、壮真のだよー」
唯斗くんの言葉に、ドクンと心臓が飛び跳ねた。
壮真の姿はまだない。周りを見渡したところで、唯斗くんがクスリと口元を緩めて言葉を続けていく。
「美麻ちゃん、壮真が気になる?」
最初のコメントを投稿しよう!