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「な、何言って…」
「ふはっ。だってさ、美麻ちゃんこの間、壮真にキスされて真っ赤になってし」
「えー、何それ恋バナ?」
「目の前でイチャついてるからさー、妬けるって話」
「高校生っていいなぁ!戻ってやり直したいー!!」
からかうようにケラケラと笑う唯斗くんに、彼のお姉さんが話に乗ってくる。
「悪い、遅れた」
丁度その時、壮真の声が後ろから耳に入るから、体が大きくビクついた。
振り返ると、いつもと何ら変わりない無表情の壮真が立っている。
睨みつけるよう壮真を見ていれば、目がバッチリと合うから慌てて顔を反対方向へ向けた。
動揺しているのが私だけなんて、絶対に認めたくない──。
「2人ペアかぁ。美麻ちゃん一緒に入ろ。家族となんか入りたくないしー」
「壮真じゃ怖がりで頼りないしいーよぉ」
「うるさい」
「それじゃぁ、私が壮真くんとね!」
駅ビルのイベント広場に設置されたお化け屋敷は行列が出来ていた。
2列になってその列に並ぶ。「なんか怖くなってきたぁ」と笑いながら口にすると、隣の唯斗くんが私の手をキュッと握った。
「美麻ちゃんが怖いなら手繋いであげるよー」
唯斗くんがそう言って優しい王子様の笑顔を向けてくる。
後ろから、壮真の粘りつくような視線を感じた。
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