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「ねぇ、ちょっ、どうして──?」
強引に掴まれた腕。唯斗くんに引きずられるように壮真のアパートを出た。
薄暗いあの部屋から突然陽の光を浴びるから、眩しくて頭がクラクラする。
「唯斗くん、用事、あるって……」
「こっちのが面白くなってきたからいーや」
「はぁ??」
「あの壮真がちょっとでも女に興味持つなんて、信じらんねぇ」
反対の手を腹に当ててケラケラと笑い出すから、何がなんだか私の方が信じらんない。
「壮真の事、好きになっちゃった?」
「……な、なってない」
「壮真は同性愛者なんだよ」
「……っ、」
「アイツ好きになっても残念ながら望みゼロ。まぁ今は俺のこと好きで何でも言うこと聞くけどさー」
唯斗くんが自身のポケットからスマホを取り出して、私の顔の前に画面を突きつけてきた。
夏休み前に校内で噂になったSNSの画像。
それは、見覚えのある男達だった。1人は壮真、もう1人は前に駅前で壮真と言い合っていた男の人。
2人が裸で抱き合って唇を合わせている写真だ。
噂は耳に入ってきていたし、なんとなく想像はしていたけど。ただの噂と視覚的情報じゃ受ける衝撃が全然違う。
「俺が撮って、俺が拡散したんだよ」
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