あの子

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 次の日は快晴だった。祐樹は朝食を食べ、父と将棋をさした。十年ぶりくらいだ。前回来たときは将棋をしなかった。  十一時になったので久恵に連絡をとってみた。電話にでなかったので留守電にメッセージを残しておいた。 「久しぶり、祐樹だけど、今実家に帰っているんだ。久恵さんが帰るんなら会って町でお茶でもしないか?」  二泊三日の予定だけど久恵が帰って来るのならもっと延ばしてもいい。お盆休みは一週間ある。  昼食の時間になった。みんなが和室に集まる。今日の昼食は天ぷらとざるそばだ。祖母が嫌味を言う。 「油っぽいものは胃がもたれるんだよね」 「あ、山菜も用意しておきましたからおばあさんは山菜そばにしますか?」 「そうしてくれ。この天ぷらはどうする? 捨ててしまうのかい? まったくもったいないことを……」  祖母の嫌味が続きそうなので祐樹が遮った。 「おばあさんの天ぷらは僕が食べるよ」  立ち上がって祖母のところへ歩いて行き、お膳から天ぷらを取る。母も急いで立ち上がった。  結局、祐樹は天ぷらを二人前食べることになった。茄子、大葉、かぼちゃ、さつまいも、イカ、エビ。結構な量だ。食べたら少し昼寝しよう。 「祐樹は今日、何をするんだい?」  祖母が言うことがなくなったのか祐樹の予定を訊いてきた。 「夕方に剣持さんの家に服と靴を返しに行くつもりだよ」 「早く行かないとまた夕立が来るよ」  祖母の言うことももっともだ。確か朝のニュースでも夕立に注意と言っていた。でもあまり早く行っても洗濯を急かしたみたいで悪い。傘を持って長靴を履いて行こう。
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