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カチンとジョッキを合わせてググッと飲んだ。至福のひと時だ。
二人は注文したお肉を次々と焼いていく。大我の男らしい食べっぷりに、姫子はうっとり顔になったのだった。
「どした? お前も食えよ」
「うふん。いいの! 大我を見てるだけで幸せだからあ!」
「でも腹は減るべ?」
「胸がいっぱーい! ヤバい!」
キャハハと陽気に笑って姫子はビール2杯目を頼む。
ああ、なんだかとてもいい気分。
最近、おかーさんの見張りの目もやっと緩くなってホッとしたし、おとーさんは病気からなんとか回復して元気にやってくれてる。あとは娘をなんとかしたら自分の自由が手に入れられるじゃん!
「何笑ってんだよ? 姫子」
「んー? だってさぁ、私ってちっちゃい時から苦労ばっかりしてきたじゃん? おじいちゃんも厳しくてさ。若い時に子供も産んだし。男は懲り懲りって思ってたけど、大我に会えてほんと良かったなーって思ったの」
「お前早すぎなんだよガキ産むの」
大我は片膝を立てて更に肉を焼く。
「えー、だってしょーがないじゃん! 出来ちゃったんだもん! 男が悪いでしょー?」
姫子は唇を尖らせるとビールを一気飲みする。
「私ってさー、不幸の星のもとに産まれちゃってるんだよねー」
「でも俺に会えたじゃん」
「だよねー! 大我に会えたから
し、あ、わ、せ!!」
「お・も・て・な・し、かよ!」
二人は弾けたように笑いあった。
そしてサラダをオーダーする。
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