姫子再来

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姫子再来

凛子は朝早くに起きて幸人と聡の為の朝食を作っていた。本日は和食。だし巻き玉子と旬の野菜の入ったお味噌。そこに浅漬けのキュウリを出して、冷蔵庫から納豆も出す。 「おはよぉ、ママ」 「おはよ。幸人。今日はいい天気になりそうよ」 幸人は目を眠たそうに擦りながら起きてきた。一人で出来ることが増えてきてとても頼もしく感じる。 「今日、姫ちゃんが来る日? だよね?」 姫ちゃん。 その呼び方はやめて欲しい。でもそう呼ばないと姫子は目ん玉をひんむくのだ。 「そうよ。でもすぐに帰ってくれるから。午後になったらお外で遊ぶ?」 「うん! パパが無理だったら隼人君と遊ぶからママがスマホできいてみて」 「わかった」 今日はきっと大丈夫。聡は午後も予定がないはずだから公園にでも行って、ボールで遊べるだろう。 「おはよー」 「パパおはよ」 「さあ、顔洗ってきて。お味噌汁いれるよ?」 「はーい」 あれから聡に姫子さんは今何をしているのか、と訊いても何も分からなかった。彼もあまり姫子さんとは連絡をとっていないらしい。 けれども彼いわく、急にかかってくる連絡は今までろくなモノがなかったらしく、良い思い出がない。そう言って顔を歪めていた。 姫子さん、あの電話はかなり声がルンルンだったけれど……まさかとは思うけど……。娘さんもいる事だし軽率なことがなければ良いのだけれど。 「美味そー」 「ママ、食べよう」 「そうね」 三人で仲良く「いただきまーす」と言うと、それだけでやはり心からの充足感を噛み締める。 ああ、本当に私は今、幸せだ。
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