姫子再来

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「まあ、そこに座れよ。えっと、井流さん、でしたっけ?」 二人をリビングに通す聡。 「弟の聡さんですよね? 俺の事、大我って呼んでください」 緑の髪の毛は、笑った。 まさか。まさかとは思うけど。凛子は動悸がして手が震えた。まさか……。珈琲を運ぶ手がカチャカチャと震える。 「あのね、来てそうそうなんだけどさあ」 「ひ、姫子さん……」 「私たち再婚する事にしたの!!」 椅子に座るなり両手を上に広げて、ジャーンとばかりにカミングアウト。 やっぱり。やっぱりだわ。 「おい、姫子、俺は初婚だぞ?」 「あ、そか。私だけ再婚てことで」 そんな事どうでもいい。 「派手な結婚式するからさー、絶対に出席してよねー! 私、お姫様になるんだからっ」 姫子…… お姫様になるのか。 「姫子なら名前の通りお姫様だなー!」 「ねー!」 「えっ……と、失礼ですが大我さんのご職業は?」 聡はすかさず訊いた。 「バンドやってます! 最近ちょくちょく売れてきて、なんとかバイトしながら食えるようになってきました!」 「えー、もー、聡、知らない? 見た事ない? 大我の顔。今動画で結構話題なんだよおー。異世界バンドとコラボとか」 「ひ、姫子さん。まさかとは思うけど……、子どもが出来たとか?」 こんな事、聞きたくない。 絶対足を突っ込みたくない、それこそ異世界問題だ。 「子ども? ないない! 星願で充分よ!」 凛子をキッと睨んでから、こうつけ加える。 「私、大我とは純愛なんだー。でもさ、バンドとかってうちの両親は理解ないじゃん? だから聡と凛子さんに協力して欲しいなと思って!」 「きょ、協力……」
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