119人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、そこに座れよ。えっと、井流さん、でしたっけ?」
二人をリビングに通す聡。
「弟の聡さんですよね? 俺の事、大我って呼んでください」
緑の髪の毛は、笑った。
まさか。まさかとは思うけど。凛子は動悸がして手が震えた。まさか……。珈琲を運ぶ手がカチャカチャと震える。
「あのね、来てそうそうなんだけどさあ」
「ひ、姫子さん……」
「私たち再婚する事にしたの!!」
椅子に座るなり両手を上に広げて、ジャーンとばかりにカミングアウト。
やっぱり。やっぱりだわ。
「おい、姫子、俺は初婚だぞ?」
「あ、そか。私だけ再婚てことで」
そんな事どうでもいい。
「派手な結婚式するからさー、絶対に出席してよねー! 私、お姫様になるんだからっ」
姫子……
お姫様になるのか。
「姫子なら名前の通りお姫様だなー!」
「ねー!」
「えっ……と、失礼ですが大我さんのご職業は?」
聡はすかさず訊いた。
「バンドやってます! 最近ちょくちょく売れてきて、なんとかバイトしながら食えるようになってきました!」
「えー、もー、聡、知らない? 見た事ない? 大我の顔。今動画で結構話題なんだよおー。異世界バンドとコラボとか」
「ひ、姫子さん。まさかとは思うけど……、子どもが出来たとか?」
こんな事、聞きたくない。
絶対足を突っ込みたくない、それこそ異世界問題だ。
「子ども? ないない! 星願で充分よ!」
凛子をキッと睨んでから、こうつけ加える。
「私、大我とは純愛なんだー。でもさ、バンドとかってうちの両親は理解ないじゃん? だから聡と凛子さんに協力して欲しいなと思って!」
「きょ、協力……」
最初のコメントを投稿しよう!