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「由奈はぼんやりしてる割に暴走気味だから心配してたのよ。良かったわ、あなたみたいないい彼氏がいてくれて」
「ありがとうございます」
若い男性が頭を下げた。その姿に満足そうに夫婦が笑い合う。
「そうだな。加奈と違って優しい子だ。加奈ももっと穏便に済まして欲しいものだよ」
「あら、怒られるわよ。あの子、お姉ちゃんの前では猫被ってるんだから。旭さん、気をつけてね。加奈は過激な由奈信者だから」
「背後には気をつけた方がいいかもしれないね」
「ふふふ、やめてよ。旭さんが怖がってるじゃない」
どちらにしても簡単に結婚できないわよと上品な女性の囁きは予言になった。微笑み合う2人の真っ直ぐな目に男性が映る。
「これからも2人のことをよろしくね」
まだまだ一件落着にはならない。嵐のような日々がようやく幕開けた。
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