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美玲に笑われながらも、瑛士は「前よりは焼けてるだろ?」とムキになる。
「全然じゃん。ほら」
悠誠が黒い腕を、瑛士の白い腕と並べた。
「お前とは比べたくねーわ! 一目瞭然だろ!」
そしてみんなで笑う。これでいい。これがいいんだ。
「真歩、腕貸して」
「え?」
瑛士の腕が私の腕に触れる。そして体温が伝わってくる。
「ほら! 真歩よりは焼けてる!」
見てと言わんがばかりに対抗する瑛士に、二人は「ハイハイ」と相変わらず相手にしない。
「二人がかまってくれない〜」
拗ねた瑛士が私に訊いた。
「真歩はどう思う? 真歩より俺の方が焼けてるよね?」
グイグイ寄せてくる少し日に焼けたその腕が、なんだかたくましく思えてきて不思議な感覚になる。
「そんなに変わらないでしょ」
私は腕をグッと押し返した。不満そうな表情を浮かべていたけど、すぐに笑顔になる。
「ねぇ、急ごう」
そしていつも通り四人で並んで校門をくぐった。
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