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 海沿いの道路は、夜風が波音を強調する。星はきれいなのに、だんだん視界が潤んできて、もう何もかもこぼれ落ちてしまいそうだ。  ブレーキ音と共に、急に前の自転車が止まった。頼もしいはずの肩が震えている。気付いてしまった。瑛士も泣いているんだ。  私は自転車を降りて駆け寄った。  「ごめん」と、瑛士は震える声でつぶやいた。溢れる感情を隠しきれなくて涙を落とす瑛士を見たら、私も今まで抑えていた感情が、我慢できなくて涙が溢れた。  悠誠は美玲に想いを告げる。そして二人は付き合うだろう。応援しようと二人で決めたけど……。 「瑛士のバカ」  いつも人のことばかり気にかけて、私に「無理すんな」って言ったくせに、一番無理して我慢してきたのは瑛士の方だ。  瑛士は美玲が好きで、私は悠誠が好きで。四人の関係を壊したくなくて、お互いに想いを告げず二人を応援しようって決めた同志であり、辛さを分かち合える同士でもあった。 「お互い、頑張った……よなぁ」  もう我慢はいらない。私も無言で頷いて、二人でしゃくりあげて泣いた。私たちは納得して失恋したんだ。
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