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「今年の夏はペルセウス座流星群をみんなで見よう!」
と、言い出したのは悠誠だ。
「わ〜、いいね! 行こう行こう!」
と、即答したのは美玲で、
「お〜、なんかエモいじゃん。行く行く!」
と、ノリノリなのは瑛士で、
「みんなが行くなら……」
と、そうでもない私がいた。
「来年は受験生だから、今年のうちに青春しとこう!」
握りこぶしをまっすぐ前に出し、悠誠は美玲に目線を移す。美玲と瑛士は声を揃えて「おー!」と言い、同じようにグーを突き出して「真歩も!」と、三人揃って私のグータッチを待っている。
「お、おぅ」
雰囲気に飲まれて腕を突き出す。そして悠誠の指に触れた。私だけが意識している。
「今年は八月十三日がピークらしい」
机に寄りかかった悠誠が、子供みたいに目をキラキラさせてスマホで情報を調べている。近寄った美玲が、スマホの画面を覗き込む。肩と肩が触れ合うくらい、近い。
「どこが良いかな。とりあえず……海?」
美玲の提案に、他二人も「賛成!」と手を挙げる。また三人の目線が私へと向く。
「賛成」
控えめに手を挙げて、笑っておいた。
下校中、悠誠と美玲が並んで歩いてる後ろを、私と瑛士が歩いている。二人はまだ付き合っていないけど、相思相愛なのは誰が見ても分かる。
「悠誠、流星群見にいく時に、美玲にコクるってよ」
隣を歩く瑛士が、私の耳元でこっそり教えてくれた。
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