1.妹の婚約話

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 ローゼ・レーヴェンはシャハナー王国の末端子爵家レーヴェン家に生まれた。五人の弟妹がおり、長女として育ってきたローゼは大層しっかりとした性格に育った。  十三歳まではいたって普通の貴族令嬢として生活をしていたローゼではあるが、十三歳のときに転機が訪れる。  それこそ……父と母が落石事故に巻き込まれたことだった。  二人は一命こそ取り留めたものの、上手く働けなくなった。特に母は足を悪くし、今でも杖を突いて生活しているほどだ。  その結果、レーヴェン子爵家はみるみるうちに貧乏に。ローゼは十五歳で騎士団に入団し、女騎士として稼ぐことを選んだ。  ちなみに、今ではローゼが一家の大黒柱と言っても過言ではない。むしろ、ローゼの収入なくしてこのレーヴェン子爵家はやっていけないほどだ。  それから十年。二十三歳になったローゼは騎士団でも中堅に属する騎士になった。ただ一つ問題があるとすれば……それこそ、嫁き遅れになってしまったということだろうか。
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