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「……あ、のですね」
「俺から一つ、提案がある。俺と一緒に住んでほしい、シシリー」
はっきりと。しっかりと。彼の口がそんな言葉を紡いだ。
一瞬なんと言われたのかがわからなくて、シシリーはぽかんとする。……でも、すぐに意味を理解した。
「もしも、万が一。シシリーに危険が迫ったら。俺が側に居るほうが、いいと思うんだ」
それはきっと、彼の仕事が関係しているのだろう。
心の中でそう思って、シシリーは俯く。……なんと言えばいいかが、わからなかった。
「わ、たしは……」
ぎゅっと唇をかみしめて、返事を迷う。
出来れば、シシリーだって彼と住みたい。彼と結婚したい。しかし、それが彼の幸せにつながるのか。
それを思うと……踏み切れない。
「シシリーが何を考えているのか。それは、わからない。でも、一つだけ知っていてほしい。俺の一番の幸せは、シシリーと一緒になることなんだ」
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