第1章 出逢いと別れ

40/40
387人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「……あ、のですね」 「俺から一つ、提案がある。俺と一緒に住んでほしい、シシリー」  はっきりと。しっかりと。彼の口がそんな言葉を紡いだ。  一瞬なんと言われたのかがわからなくて、シシリーはぽかんとする。……でも、すぐに意味を理解した。 「もしも、万が一。シシリーに危険が迫ったら。俺が側に居るほうが、いいと思うんだ」  それはきっと、彼の仕事が関係しているのだろう。  心の中でそう思って、シシリーは俯く。……なんと言えばいいかが、わからなかった。 「わ、たしは……」  ぎゅっと唇をかみしめて、返事を迷う。  出来れば、シシリーだって彼と住みたい。彼と結婚したい。しかし、それが彼の幸せにつながるのか。  それを思うと……踏み切れない。 「シシリーが何を考えているのか。それは、わからない。でも、一つだけ知っていてほしい。俺の一番の幸せは、シシリーと一緒になることなんだ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!