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シスターの朝は早い。
早朝から祈りを捧げ、みなそろって朝食を摂る。食事を作るのは当番制であり、当番の者以外は朝から教会の清掃をするのがルール。
教会にはそれぞれ独自のルールもあるだろうが、ここら辺は何処も同じだとシシリーは思う。
「……あぁ、今日も始まってしまったのね」
質素な寝台から起き上がり、このスピナッティ教会に仕えるシスターの一人、シシリー・ラフォレーゼはそう零した。
シシリーは齢二十一のシスターであり、約三年前からこのスピナッティ教会に身を寄せている。
この教会には孤児院が隣接されており、子供たちの教育などもシスターの役目だ。……とはいっても、シシリーは孤児たちの世話係ではないのだが。
そう思いつつ、シシリーはシスターの服に着替えた。その後、簡素な鏡台の前で長い銀色の髪を三つ編みにしていく。
化粧は施さない。それは、このスピナッティ教会のルール。神に仕えるのだから、身はきれいなままが理想。確か、そんな考えだったはずだ。
(本当、ばかばかしい)
シシリーは好き好んでこの教会でシスターとして仕えているわけではない。むしろ、出来ることならばさっさとここを出ていきたいくらいだ。が、ここを出たところでシシリーにはいく当てがない。そのため、ここに身を寄せているだけ。
部屋を出て、シスターの宿舎の階段を下りる。そうすれば、目の前に嫌な顔の人物を見つけた。
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