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片桐に握られた箇所がじんじん熱くなる。
「で、ミユまで青山に仮初めの彼女でいいから付き合いたいとか言い出して、俺がしている事は自己満足なんだと気付いたよ。ミユがお試しで青山の彼女になるなんて悔しい」
常日頃、女子に囲まれている片桐は自他共に認めるチャラさで、特定の相手が必要ないと決めつけていた。わたしと仲良くするのだって異性というより同性に近い接し方をし、全くというほど気取らせない。
わたしを好きだと言う理由は分からないが、片桐が冗談でわたしを好きと言わないと信用はする。
「……ごめん片桐、わたし何と言えばいいか」
そして、これがわたしの正直な感想だ。混乱している。
「ははっ、俺もごめん。ミユが俺は好みに合わせて貰ってばっかりって意地悪言うもんだからムキになっちまった」
「ごめん」
また謝る。
「いいって、謝るな。ミユは悪くない。失恋して弱ってる所に付け込むみたいだよな」
「……ごめん」
それでも謝る。
「あっ! これってもしかしなくても、俺、振られてるやつだ?」
「片桐、ごめんね」
わたし、ごめんねしか言えないロボットみたい。
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