86人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「マンゴーフェア、今月末で終わっちゃうね」
「あ、そうだった、そうだった! マンゴープリン、食おうぜ」
延期になっていた件を持ち出せば、いちにもなく食い付いてくれる。片桐に距離を感じるとこんな風に試したくなってしまう。
「今日はバイト入ってないよ?」
「いいじゃん。何か予定あるのか?」
「無いけど。片桐は無いの?」
「あぁ、今、予定が出来た。ミユとマンゴープリン食う予定が! な?」
片桐は告白場面の覗き見を中断し、こちらに振り向くとウィンクした。
「もう調子いいんだからーーえ?」
帰り支度を整え、さっそくファミレスへ向かおうとした所、窓の外から視線を感じた。
「!」
なんと青山君がこちらを見ている。
「? ミユどうした?」
動きが固まったわたしを不思議がり、片桐も校庭を確認した。
「青山の奴、こっち見てるな」
わたしの見間違いではないようだ。しかも青山君はおいで、おいでと手招きをしてきた。
「どうするの? 青山、ミユを呼んでるぞ」
「どうするって……わたしは青山君に用なんてないよ」
「そっか、そうだよな。よし!」
すると、片桐は窓を全開にして身を乗り出した。
「バーーカ! 普通、用がある奴が出向くだろうが! ミユと話したいならお前が来いよ! バーーカ!」
最初と最後のバカという単語に物凄い声量が充てがわれて、もしかしたら青山君はその部分しか聞こえないかも。
最初のコメントを投稿しよう!