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「はぁぁ、片桐。こういう所だと思うな」
大きくため息を吐き、脇腹へ肘を入れておく。
「いっ、痛ってぇ! 何だよ? こういう所って?」
「いちいち馴れ馴れしいの。片桐って女の子を勘違いさせて泣かせてばかりじゃない。この間だってーー」
そこまで注意して、ふと前方へ意識が向く。校庭に居たはずの青山君がこちらに歩いてきた。
わたしはすかさず片桐の手を払い除け、脇に寄る。どうかわたしに構わず通り過ぎて欲しい。
「相変わらず仲が良いね。今からバイト?」
しかし願い叶わず、青山君は律儀に立ち止まる。別れたからといって無視をせず、行き合えばこうして挨拶してくれるが、わたしとしてはそれが辛くて。
「う、うん」
返事が上擦ってしまう。わたしはまだ青山君を友達扱い出来ないし、雑談に応じられそうもない。まともに顔だって見られない。
「マンゴーフェアやってるんだぜ、良かったら新しい彼女と食べに来いよ! カップル割りあるからさ」
と、片桐が再びわたしの肩を抱いた。
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