第十一章

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…………  まだ(ぬえ)は、本当の力を出していない。(ぬえ)は、おそらく、古墳(こふん)呪縛(じゅばく)から()け出せないでいる。  リュウタロウが、『とんでもなく強い』といったバケモノと(たたか)うなら、やつが不完全(ふかんぜん)な今がよいと私は思った。  私は、里織部(さとおりべ)に、「どうしたらいいでしょうか?」と()いた。 「七夕祭(たなばたまつ)りは、古くから、この地方で妖怪(ようかい)(しず)めるためとして行われてきました。言いつたえから考えて、笹船(ささぶね)に乗せた力鉾(ちからぼこ)を流すことによって、(ぬえ)の力が弱まるかもしれません」  里織部(さとおりべ)はそう説明(せつめい)してから、言葉をつけ(くわ)えた。 「アヤノさんには、神社の中に引きこもっていただき、あなた方は、笹船(ささぶね)に身をかくして、やつを(むか)えうつのがよいと思っています」  ちょっと待って……  今、(たたか)うのが良いとは思ったけれど、かけ出しの私には、()が重すぎる。(ぬえ)との(たたか)い方も知らない。正直(しょうじき)言って、不安(ふあん)だ。 .
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