第一章

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「たしかに(つら)いかもしれない。でも、私はすごい能力(のうりょく)だと思う。どうして今まで(かく)してたの?」 「人に知られたら、きっと気味(きみ)(わる)がられるでしょ。でもね、今回はいつもとちがうと思って、ミユに()()けたの」 「教えてくれてありがとう。でも、いつもとちがうってどういうこと?」 「いつもは、誰かが()くなる前に(むね)が苦しくなったり()(あせ)をかいたりするんだけど、今回はそれがなかった。いきなりだったの。たぶん、本人も気がつかないくらい突然(とつぜん)に、ことが()きたんだと思う」  ミユは、少し考えこんでから、「ユージは事故(じこ)自殺(じさつ)で死んだんじゃないの?」と()いてきた。  私は、これまでのできごとを()り返って考えた。ユージは、もしかしたら自分が死んだことにさえ、気がついていないかも知れない。そんな死に方ってあるのだろうか。 「殺されたのだと思う」と私は答えた。 .
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