第一章

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 ◇◇◇  週が明けて学校に行くと、先生たちが校門に並んであいさつをしていた。  今回のことを受けて、先生たちもがんばっているのだと思う。  でも、その背後(はいご)の校舎は、どす黒く、くすんで見えた。  朝礼で校長先生が今回のことについて説明した。コースケやカズマも神妙(しんみょう)な顔をして話を聞いている。 「古江ユージさんは、本当に明るく元気な子でした。そして、みなさんをいつも笑顔(えがお)にしてくれました。警察(けいさつ)の方や教育委員会の方など多くの人に協力していただき、今回のことを調べた結果(けっか)、ユージさんは、朝早くに登校したあと、学校の屋上(おくじょう)からあやまって落ちたことが分かりました。本当に残念(ざんねん)です。みなさんで(もく)とうをささげましょう」  一分間の(もく)とうの間に、みんなは何を考えたのだろう。私は強い(いきどお)りを感じた。何者かがユージを殺したのに、解決されないまま過ぎてしまうのだ。 .
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