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しかし、すぐに次の礫が山車に当たり、別の場所から火の手が上がった。
あわてて、山車に乗っている町衆が火を消し止める。しかし間髪を入れず、いくつもの赤い礫が山車を貫いた。
「早く山車を引いて! 鳥居をくぐって!」
私も必死で声を上げる。
止まっていた山車が、ふたたび動き出した。みんなが力を込めて山車を引き始める。
木でできた大きな車輪が路面と擦れ合い、煙を上げた。大通りぞいの人々も、あわてて道を開ける。
力鉾の先が大きく揺れた。大通りの両側に飾られている大きな七夕飾りが風にもまれている。辺りに強風が吹き始めた。
鳥居まであと少しだ。
私は「アヤノを守って」と、力鉾に強く願った。
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