第十一章

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第十一章

 山車(だし)から力鉾(ちからぼこ)が下ろされ、神社に奉納(ほうのう)された。力鉾(ちからぼこ)は、ここで祝詞(のりと)を上げられ、笹船(ささぶね)に乗せられる。その後、笹船(ささぶね)は、力鉾(ちからぼこ)とともに小田川(おだがわ)に流され、火をかけられるのだ。  私たちは、アヤノを山車(だし)から降ろすと、宮司(ぐうじ)里織部(さとおりべ)に会いに行った。里織部(さとおりべ)神殿(しんでん)祝詞(のりと)を上げていた。  里織部(さとおりべ)祝詞(のりと)を上げ終わるのを確認(かくにん)すると、私たちは里織部(さとおりべ)()けよった。 「里織部(さとおりべ)さん。お(ねが)いがあります」  シンジが言った。リュウタロウも、「先日、(りゅう)(やしろ)を見せていただいたD小学校のものです! (いそが)しいときに(もう)(わけ)ないのですが、話、聞いていただけませんか?」と声をかけた。  それを聞いた里織部(さとおりべ)は、ふり返り、リュウタロウの()を見て言った。 「君、(りゅう)ですね?」  私はびっくりした。(だま)っていると里織部(さとおりべ)は次に私の()を見て、「そしてあなたが龍使(りゅうつか)い」と言った。  私とリュウタロウは、(だま)ってうなずいた。 「君とあなた、こちらへ来ていただけますか。話をうかがいましょう」  里織部(さとおりべ)は、水の流のように自然(しぜん)だった。  リュウタロウは、みんなに、拝殿(はいでん)で待っていてくれるようにお(ねが)いする。 .
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