3197人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
第十一章
山車から力鉾が下ろされ、神社に奉納された。力鉾は、ここで祝詞を上げられ、笹船に乗せられる。その後、笹船は、力鉾とともに小田川に流され、火をかけられるのだ。
私たちは、アヤノを山車から降ろすと、宮司の里織部に会いに行った。里織部は神殿で祝詞を上げていた。
里織部が祝詞を上げ終わるのを確認すると、私たちは里織部に駆けよった。
「里織部さん。お願いがあります」
シンジが言った。リュウタロウも、「先日、龍の社を見せていただいたD小学校のものです! 忙しいときに申し訳ないのですが、話、聞いていただけませんか?」と声をかけた。
それを聞いた里織部は、ふり返り、リュウタロウの眼を見て言った。
「君、龍ですね?」
私はびっくりした。黙っていると里織部は次に私の眼を見て、「そしてあなたが龍使い」と言った。
私とリュウタロウは、黙ってうなずいた。
「君とあなた、こちらへ来ていただけますか。話をうかがいましょう」
里織部の身のこなしは、水の流のように自然だった。
リュウタロウは、みんなに、拝殿で待っていてくれるようにお願いする。
.
最初のコメントを投稿しよう!