第十一章

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 里織部に続いて紫色(むらさきいろ)神前幕(しんぜんまく)をくぐると、神殿(しんでん)横の部屋に入る。里織部(さとおりべ)は、私たちを(すわ)らせると言った。 「何でも話してください。私も、ここひと月くらい何か変だと思っていました。古墳(こふん)も、いつもとちがう様子(ようす)でしたし」  私は。五年B組で()きた出来事(できごと)と、七夕祭(たなばたまつ)りで()きている出来事(できごと)について、くわしく話した。  里織部(さとおりべ)は、「なるほど」と、うなるように言ってから、「(ほう)ってはおけないですね」と続けた。 「(ほう)ってはおけない……ですか?」と私がたずねると、里織部(さとおりべ)が答えた。 「じつは私、龍使(りゅうつか)いだったんです。でも(りゅう)龍使(りゅうつか)いの能力(のうりょく)は、中学生くらいになると()えてしまいます。今の私には、龍使(りゅうつか)いの能力(のうりょく)はありません。でも、今から三十年ほど前には(りゅう)に乗っていました。最近、ふたたび古墳(こふん)(あぶ)なくなってきたので、若い(りゅう)龍使(りゅうつか)いを(さが)していたところです。君たちと出会えて本当に良かった。私たちと一緒に、(ぬえ)(たたか)いましょう」  何という心強い味方(みかた)()たことだろう。  七夕(たなばた)の夜、大通りのにぎわいは頂点(ちょうてん)(たっ)している。この(まつ)りの真っただ中で、私たちは(ぬえ)(たたか)うことになるかも知れない。 .
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