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里織部に続いて紫色の神前幕をくぐると、神殿横の部屋に入る。里織部は、私たちを座らせると言った。
「何でも話してください。私も、ここひと月くらい何か変だと思っていました。古墳も、いつもとちがう様子でしたし」
私は。五年B組で起きた出来事と、七夕祭りで起きている出来事について、くわしく話した。
里織部は、「なるほど」と、うなるように言ってから、「放ってはおけないですね」と続けた。
「放ってはおけない……ですか?」と私がたずねると、里織部が答えた。
「じつは私、龍使いだったんです。でも龍や龍使いの能力は、中学生くらいになると消えてしまいます。今の私には、龍使いの能力はありません。でも、今から三十年ほど前には龍に乗っていました。最近、ふたたび古墳が危なくなってきたので、若い龍や龍使いを探していたところです。君たちと出会えて本当に良かった。私たちと一緒に、鵺と戦いましょう」
何という心強い味方を得たことだろう。
七夕の夜、大通りのにぎわいは頂点に達している。この祭りの真っただ中で、私たちは鵺と戦うことになるかも知れない。
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