第十一章

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「私、自信ありません。(りゅう)に乗り始めて、まだ短いんです」と私が言うと、里織部(さとおりべ)が言った。 「あなたのお気持ち、よく分かります。じつは、三十年くらい前にも、似たようなことがありましてね、そのときに私、(ぬえ)(たたか)ったんです。正確(せいかく)に言えばです。あのときは、(りゅう)が二匹、龍使(りゅうつか)いが二人いましたから。私も、とても怖かったですよ。あなたと同じです」 「もう一人の龍使(りゅうつか)いって、平野正成(ひらのまさなり)さんじゃないですか?」と、リュウタロウが()いた。私は、突然(とつぜん)父の名前が出たので、おどろいた。 「その通りです。どうして知っていらっしゃるのですか?」と、里織部(さとおりべ)()き返す。 「正成(まさなり)は、私の父です」、そう私は言った。  それを聞いた里織部(さとおりべ)が、目を丸くして驚いた。 「あなたが娘さんですか。あなたのお父さんは、すばらしい龍使(りゅうつか)いでした。三十年前の(たたか)いに、私たちが()つことができたのは、正成さんがいてくださったおかげです」 「そのときのことを、教えていただけませんか?」とリュウタロウが言った。  里織部(さとおりべ)は「いいでしょう」と答えると、そのときのことを話し始めた。 .
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