第一章

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 ミユは、低学年からの親友(しんゆう)。三年間同じクラスなのはミユだけだ。ミユは、私が臆病(おくびょう)で新しいことに挑戦(ちょうせん)しないのを見て、「だめだよ。小学校生活は一度しかないんだから」と言い、いろいろなところに引きずり出してくれた。  そのおかげで私は、他の子ががやっている(あそ)びを、ひととおり経験(けいけん)することができた。本当に感謝(かんしゃ)している。  私は、自分の部屋にもどると、日記(ちょう)を取り出した。  文芸クラブで(おぼ)えたのは、日記を書くこと。他には何も(おぼ)えていない。でも日々のでき事や季節(きせつ)風景(ふうけい)を書きとめておくことは、お気に入りの小物(こもの)をコレクションしているようでとても楽しい。  だいたい五~六行くらいで短いのだけれど、気軽に読み返すことができることを考えると、これが一番自分に合っていると思った。 『五月三十日(木):今日、古江ユージが死んだ。ユージとは、四月から同じクラスになった。少年野球をしていて、進学先の中学校でも野球部に入ると言っていた。でも、どうしてユージが死ぬのだろう。持病(じびょう)を持っているわけではないし、自殺するようなタイプでもない。五年B組で、何かが起きようとしている』 .
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