第一章

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 ◇◇◇  その日私は、ミユの家に()まった。しかし、楽しい気分にはなれない。 「どうしてユージが死ぬって分かったの?」  ユミが真剣(しんけん)な顔で()いてきた。  私が、「どうせ、言っても信じてくれないんでしょ?」と、ふてくされてると、ミユは、「きのうは本当にゴメン。まさかって思ったから。でも今はイヨを信じてる」と言って目をつむり、手を合わせて(あやま)った。 「実は私、ときどき分かるときがあるの」 「分かるときがある?」 「人が()くなる前に、それを感じ取っちゃうときがあるの」 「そうなんだ。怖いけれど、それってすごいことだと思う」 「でも私、そんな能力はいらない。人の死が分かるって辛いことよ」 .
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