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Win-Win
もうこれに賭けるしかない。
誠志は剛田がうまく騙されてくれることに賭けた。
「なぁ剛田!ちょっと俺から提案があるんだが!」
ギリギリで剛田を抑えながら提案を持ちかける。
「提案だと?そんなものはいらん!いいからさっさと腹を殴らせろぉ!」
会話に痺れを切らし、ついに剛田は腹パンを飛ばした。
パギュッと鈍い音がなる。
内臓は衝撃により捻れ、一瞬で吐き気を催した。
「…カッハッ…!うええええええぇ…!!」
地面に吐瀉物を垂らす。
今日の朝食べた食パンと、昼食べたハンバーグとにんじんとおもしき色の物があった。
その光景とその匂いでもう一度吐きそうになる。
にんじんはもともと嫌いだったため、余計にそれをプラスにさせた。
「ぐへへへへへへへ…♡。待たせやがって…んぁ??」
「はははは…無駄だよ…。今、能力の…うぇ…スイッチを…切ったからな」
「なん…だと!?」
「なんだぁ?スイッチを…入れて欲しいか?」
「頼む!一度でいいんだ!それだけで俺は満足するから!」
「いやどんな頼み方だよ」と心の中でツッコミをいれた。
しかし、今の所うまく誘導できているようだ。
ここから仕掛ける!
「本当に1発でいいのか?」
「なに?もっと殴ってもいいっていうのか?」
「俺の条件に応じてくれれば、その報酬としてやらせてやってもいいぞ」
「是非ヤらせてくれ。なんでもやる覚悟はもうできてる!」
返事は即答だった。
やはり、人間は快楽に逆らえない。
それが例え知らない快楽だとしても、聞いただけで、見ただけで、自分も体感したくなるのだ。
それを体験するためならほぼなんでもする。
剛田も同じだった。
このままスイッチを切られたままでは、殴ってもなんの徳はない。
考えを改めさせるまで殴り続けるという手もあるが、誠志は根性だけは硬い。
そしてそれまでに殺してしまう可能性もある。
ならば、継続で殴らせてもらえる方が絶対にいいと思ったのだ。
「で、条件ってなんなんだ?早く教えて殴らせてくれぇ♡」
「簡単だよ。毎日僕のいう事をなんでもきくこと。それをしてくれたら1日の終わりに軽ーく殴らせてやる。もちろん本気で殴ってはこないでくれよ?気絶しない範囲で殴ってくれ。」
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