超能力

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「あはは!誠志が超能力!?w」 クラスの一軍陽キャの秋山が面白そうに腹を抱えながら言った。 秋山はクラスの陽キャであるとともに、陰キャである誠志をいじめていた。 「じゃあ聞こうか。一体どんな能力が手に入ったんだ〜?」 すると誠志が即答する。 「腹パンしてきた相手を気持ちよくさせる能力」 次の瞬間、クラスはどわっと大爆笑に包まれた。 「あひゃひゃひゃ!おもしれぇ!wついにいじめに快感を見出したか!!w」 「誠志、お前まさかのドMかよ…!!w」 「誠志くんやば〜いw」 男子だけでなく、女子も同様に笑っていた。 そんななか、1人笑わない者がいた。 能力を手にした本人である誠志だ。 「信じてないのか?」 真面目な顔でいう。 秋山から見てその顔は、より一層ネタ感を醸し出しているように映った。 「当たり前だろ?笑。てゆうか、そういうネタだろ?お前おもろすぎだろ笑」 始め以上に腹を抱えながらそう言う。 しかし至って真面目な誠志はそれを否定した。 「ネタじゃないよ?」 「そっかそっか!じゃあちょっとやらしてくれよっ!」 そろそろネタに飽きたのか、次の瞬間、誠志の腹に秋山の一撃が飛んだ。 ドゴッ! 見事に躱わす暇も技術もなく命中する。 「ガハッ…!!」 息がむせかえる。 そしてそのまま床に手をついた。 腹がズキズキと刺すように痛む。 特に鳩尾(みぞおち)あたりだ。 「チッ…能力が手に入ったとは言ってもっ…やらせるとは言ってないぞ…」 数秒の時間をかけながら誠志が立ち上がる。 周囲はもう既に気付いていた。 「何かがおかしい」と。 確かに誠志は秋山に殴られて倒れた。 そのはずなのに。 「おい…」 秋山の友人である寿貴(としき)が声をかける。 誰に? 殴られて倒れていた誠志か? 違う。 それは、声をかけられたのは、誠志の近くに倒れた誠志を殴った張本人である秋山だった。 「なんで…なんでお前まで倒れてるんだよ…!?」
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