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呼び出し
1.
放課後に剛田から呼び出しを受けた誠志は、剛田の所へ向かった。
メールには、「体育館倉庫で待つ」と書かれている。
果し状の様なそのメールに、誠志には強い心当たりがあった。
実はあの秋山は、剛田と肩を並べるほどの喧嘩の強さで、それをヒョイっとあっさり倒した誠志に興味がわいたのだろう。
しかし、本当に理由はそれなのだろうか?と誠志は思う。
確かに、今まで強さを見せた事もないのは確かだし、実際強さなんて持っていなかった。
それが急に強さを見せたら興味が湧くだろう。
しかし、剛田は話した事もない奴と喋ることは滅多にない。
ましてや、クラスメイトが喧嘩に急に強くなったからと言って、いきなり戦闘をふっかける様な戦闘狂でもないのだ。
「あ」
つい声を漏らす。
もう一つの可能性を見つけたのだ。
いや、見つけてしまったと言うほうが正しいだろう。
それがあっているかどうか、誠志はわからない。
あっていないほうが勿論いいが、そうじゃ無かったら最悪だ。
「はは…まさかな」
自分を元気づけるようにつぶやいた。
しかし、そのまさかは起こってしまう。
ガラガラ…
扉を開ける音がやけに大きく聞こえた。
真っ先に目に入ったのは、仁王立ちで突っ立っている剛田だった。
「あ、剛田」
声をかける。
だが反応は無い。
いや、既に反応はしていた。
どこがとはあえて言わないが、強いて言うなら下半身の辺りが。
「…フーッ♡フーッ♡…」
荒い吐息が剛田の口から出される。
顔を赤面させて誠志に近づく。
「剛田…?」
改めて名前を呼ぶ。
返事は返ってこなかった。
「チッ…もう一つの方が当たったか!」
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