雨よ降れ

1/1
前へ
/1ページ
次へ

雨よ降れ

朝、外に出ると 雨が降っていた。 「明日雨が降るといいね。そしたら、買ったばかりの長靴が履けるから。」 昨日お母さんは、そう言っていた。 でも、この天気は長靴を履くほどの雨だろうか 買ったばかりのカッコいい赤い長靴 履きたいけど 友達と同じじゃないのは恥ずかしい。 「お母さん、これって小雨?」 「うん、そうだね。長靴履かないの?」 「普通の靴にする!」 「前の長靴の時、小雨で履いたら友達は靴だったから、僕恥ずかしかったもん。」 「そうでしたか。」 ゆうくんは靴箱から靴を取り出して長靴を脱ぎ捨てた。 幼稚園が終わって帰ってくると 「長靴どうだった?」 「今日は小雨なのにみんな長靴履いてた…。」 「ほら、履いていけばよかったのに…。」 次の日の朝 かんかん照りに晴れていた。 次はいつ雨が降るのだろうか。 新しい靴はまだ靴箱の中にある。 「雨よ、フレ。」 完
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加