彼女のダチュラのヘアミスト

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「ーーー…神取先生、こちらの意見報告書なんですが、」 「あ、はい。」 眠たげではないが気怠さを感じる臨床検査技師の神取先生に視線を少しだけ合わせないように伏せた。 年齢だけを見るとたったの2歳しか変わらないが幼いと言うよりも若いと感じる先生は軽いパーマのかかった髪を触りながら話を聞いている。 書類を指差しながら説明している私の話を小声の相槌をしているのを眼鏡のレンズで誤魔化しながら少しだけ見るとあまり表情が変わっていないのが見えた。 ……本当に話を聞いているのか? 「ーーー…以上で御座います。また何か分からないことがありましたら事務室の内線を鳴らして下さい。」 「わ、分かりました。」 「では、失礼致します。」 そう言うと後ろを向くと肩口に結んでいる髪の先とリボンが首筋に当たるのを感じた。 別にこの先生が嫌いなわけではない、何故か無意識に苦手意識があるのに視線がいく。 周りの人は曰く「可愛い」と言っている人が多いがなんか…うん、なんか苦手。 あちらもおそらくそう思っているか、認識というか意識されてないだろう。 恐らく仕事外であっても双方無視だろうし、声かけるほどの仲ではないのは確実。 まず、気が付かれないと思う。 でも、 「(なーんかねー、)」 視線は行く、だけど苦手。 眼鏡を外しカーディガンの裾で拭きながら誰もいないこといいことに疲労感を感じる溜め息をした。
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