彼女のダチュラのヘアミスト

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→神取 「っはー、」 難しい話で数分だったのに疲れた。 いつもは先輩がこの手の話をするけど、今日は冠婚葬祭で休み。 「………。」 渡された意見書を見ても6割ぐらいしか理解が出来ない。 机に戻り、意見書と睨めっこしながらさっきのことを現実逃避で考えた。 「………。」 不意にさっきまでいた事務の満園さんのことを思い出した。 「(…………俺も2年たったらあんな感じになるのかな?)」 よく淡々と話せるものだ。それと一向に視線が合わない。 廊下とか食堂では見ると他の社員と普通に見えるのだが、そう見えるだけなのか? ちょこちょこ変わる眼鏡を見て「そのブランドって眼鏡フレームも出てるんですか?」と無意識に聞きそうになるが聞けずにそこで終わる。 さっきの話しているときは書類を見ながら彼女の目を見ていた。 ほとんど線の細い黒縁眼鏡に隠れているが綺麗に深みのある紫色のアイシャドウが彩っており、一歩間違えれば奇抜に見えるのにそう見えないのが安直だが凄いと思った。 一瞬だけこっちを見たような気がし、急いで視線を書類に戻した。 危ない、気づかれたら呆れられそう。
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