彼女のローズレッドリップ

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「(あ、もうか、)」 繰り出し式のリップが最後まで到達してしまった。 そうよね、掘られていたブランドの刻印が消えて随分経つし、めっちゃ塗り直してるし。 落ないリップって流行ってるけどあれって乾燥するしクレンジングで落ちづらいし、時間経つと蛍光色みたいに見えるし、変に思われるけどちょっと塗る瞬間好きなんだよね。 「んー…、」 次も同じ色を買おうか、どうしようか。 別に他のリップもあるけどなんだかんだ気に入ってるんだよね、持っているアイシャドウも全体的に合うし。 それに、 『それにその色お似合いですよ。』 「(ふふっ、)」 あんな面と向かって言われたの初め……、 「あー……、」 『どう、かな?』 『うん、凄く似合う!そういうはっきりした色の方が似合うよ!』 「………。」 初めてでは、ないか。 なんだったら私が選んだわけでは……、 そこまで思い出すとベッド横のサイドテーブルの写真を無意識に見てしまった。 「今でも似合うと思いますか?」 返答なんてないのは分かっているのに声に出して聞いてしまった。 だけどすぐにまた神取先生の言葉を思い出した。 「あ、れ?」 なんで今思い出すの?
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