“彼”と彼女のブルーベリーチーズケーキ

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「別にいいですよ。」 言葉が完全に見つからない。 別に在学中やましいことなんて何一つしていないし、“ほぼ”いたって普通に学生だったし。 「そー…ですねー……、」と適当に繋げようと考えていると、 「あ、あの、別に話したくないなら大丈夫、です。」 慌てるように神取先生が言うから、何がというわけでもなく何かが頭の中で飛んだ気がする。 そんなに考え込んだ顔をしていたかな? あまりにも必死な表情でいうものだから失礼ながら少しだけ笑ってしまった。 「すいません、笑ってしまって。別に話したくないわけではないですよ、ただ自分のことを話すことがあまりないのでどう話していいのか分からなかっただけです。」 「あ、」 「なんせ5年近く前のことになるので。」 吹っ飛んだおかげなのか、少しずつ話せるようになった。 考えすぎるのって本当にダメね。 「とは言っても何も面白みもない学生ですよ、普通に理系の4年生大学に入って、サークルに入って、バイトは……母親が自営業で小料理屋を経営していたからそこで働くといっても簡単な手伝いと経理を少しやっていただけですよ。」 「実家は小料理屋さんだったんですか?」 「えぇ、とは言っても私は全くではないですが料理は最低限死なない程度しか出来ませんよ。数字を追っていくほうが性に合ってましたね。」
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