彼女のダチュラのヘアミスト

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確かに男性にしては色白で可愛らしい顔立ちをしていると思った。 視線を合わせてそう言うと黒目がちな瞳が少しだけ揺れ、少しだけ驚いたような表情をして、「お願いします。」と少し意外そうに言いたげな風に言われた。 「では、後ほど。」と簡単に締めくくり、事務室に戻ると返却されたUSBを上司に渡し、意見報告書記入の為にまた検査室に行くことと一応のために検査本を借りていくことを言って少し準備をしてすぐに事務室を出た。 途中御手洗に行き、最近急に暑くなったし頭皮から変な匂いがしないか確認と髪だけ縛り直した。 解いた時に朝付けたヘアミストのダチュラの香りがして少しだけ落ち着いた。 「……。」 なんでこんなに畏まるように肩に力が入っているんだろう? それに何度目か分からないがなんでこんなに苦手意識があるんだろう? 取って食われるわけでもないのに。 そんな馬鹿げたことを考えながら髪を結び直し、リボンも付け直し制服の襟を直しと再び検査室に向かった。 ―――――――――――――――――― ―――――――――――― ―――――― 「えぇ、こちらに採取した日と病理検査の結果の、………」 いつも思うがこれは完全に医師が記入しないといけない気がするけど、とは言ってもこんな下っ端が思う程度みんなが思っているか。
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