晴れときどき雨

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 僕、日景園太(ひかげそのた)は、ハッキリ言っちゃうと運動音痴だ。体育より図画工作が好き。外で遊ぶより家でゲームする方が好きな、俗に言うインドア派ってやつ。  でも僕の友達は正反対のアウトドア派ばかり。学校が終われば決まって公園や広場で鬼ごっこやスポーツをする。だから僕にとって彼らと遊ぶことは苦痛でならない。彼らからしたら僕はただの人数合わせで、正直いなくても困らない存在だろう。だからたまに用事があると嘘をつき、断ったりもしている。あまりやり過ぎると付き合いが悪い奴だと思われ二度と誘われなくなる恐れがあるのでここぞという時だけ断るようにしている。  そこまでして無理に付き合う必要は無いだろって? でもさ、雨の日は違うんだ。雨の日だけは、僕の家に集まってみんなでゲームするんだ。その時ばかりは、僕が主役。普段運動が得意な奴もゲームとなれば僕には勝てない。完全に立場が逆転する。それがあるから僕は我慢して嫌いな運動にも付き合っている。基本、みんないい奴だし、絶交だけはしたくないしされたくもない。  本来なら僕と同じインドア派の友達を作るべきなんだろうけど、もう五年生だし今更新しい友達なんて作れない。奇跡的に作れたとしてもしそいつが僕よりゲームが上手かったらなんか嫌だし。  だから僕はこうして毎日天にお願いしている。一時的でもいい。この町内だけでもいい。どうか雨を、雨を降らせて下さい。
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