歪んだ招き猫

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歪んだ招き猫

 物の怪は物の化け物で物の怪だ。  不格好な招き猫の物の怪がいた。彼女を作ったのは陰陽師の娘だ。力は強いが女だから評価されなかった娘が作った呪物が彼女だ。  招き猫だが呪物だ。  福ではなく災いを呼ぶ。いい人ではなく悪い人を呼ぶのだ。ただ悪いの範囲が曖昧で、小悪党や運の悪い人がやって来る。  そうなってしまったのは彼女は違う目的で作られたからだ。  そんな彼女は今は骨董店にいる。呪い殺すことが出来る招き猫として売られているのだ。  そんな力はない。 「不格好だけど可愛い。ブサカワ?」  ある日、女の子が彼女を手に取り買った。彼女の値段は千円だった。  彼女は思った。女の子が私を選んだということはどんな悪いことがあるのだろうか?彼女は呪物である。  彼女にはもう一つ力がある。不幸を予知出来る。だが予知出来ても彼女は動けないし話せない。彼女を作った娘のための力だ。  彼女は予知をした。  女の子が車に轢かれる未来を。  うんざりしていた。ただ人の不幸を見るだけの生活に。  女の子を救いたい強く願うと彼女は割れた。不幸を身代わりに受ける。それが彼女の作られた目的だ。  不幸を身代わりに受けるために彼女は不幸を予知するのだ。  彼女は公園で目を覚ました。長い年月生きた彼女の力は強くなっており、化け猫に生まれ変わったみたいだ。  動けるし話せる。尻尾が二本なのもご機嫌だ。  彼女は向かう女の子の所に。 「救ってやったんだから飯と宿はたっぷり用意させてやる」
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