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食料を買うのを辞めて私は急いで小屋に戻る山道を歩いた。
雪が深くて何度も雪に足を取られてしまった。
小屋が見えて来た時には、日は暮れ、雪がまた降り始めていた。
小屋の中、明かりはついていない。
彼はまだ帰ってこない
手袋を外して雪の上に投げつけた。
村の人の言葉が頭から離れない
愛玩趣味
拘束の魔法陣
彼は私を愛しているんじゃないの?
小屋の傍、小さな花が光っているように見える。
ゆっくりとその場所に行くと、私の名前と同じ花がゆらりと揺れながら、光っているように見えた。
その光に反応して私の左手の甲に浮かぶ魔法陣。
「これ......」
そんなものないって思っていたけれど......右手でその魔法陣に触れると、チクッと針が刺さるような痛みが指先に走った。
それと同時に見えてくる沢山の映像!
ここよりも遥か遠くの異国で私は両親と優しい兄たちと暮らしていた。
偶然、そこに来ていた彼が私を気に入り周りを欺いて私を連れ去って私の記憶も一緒に魔法陣に封印していた。
「あぁ......私、あの男に拐われてここにいたんだ」
なんで、忘れていたんだろう。
麻袋に押し込められて知らない土地に連れてこられた。
嫌だと泣いても聞いてもらえず無理矢理押さえつけられて、魔導師にこの左手に魔法をかけられたこと!
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