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記憶が戻ったのに、彼は他に愛するものがいるのに彼への気持ちが消えないのは、何年も魔法にかかっていたからなのかしら。
それとも、情があるのかしら。
「そのどちらであっても、そんなことはどうでもいいわよね」
私には彼だけだった。
彼が私の希望、私が生きていくための全てだった。
それだけの為かもしれないけれど、私は少なくとも彼のことを心から.....
スノードロップが優しく揺れる。
スノードロップが咲くともうすぐ春が来る。
春が来たらきっと、彼が戻ってくる。
私は両手で雪と土を掘って、球根ごと持ち上げた。
「あなた......愛しています」
花に口付けをして、球根に頬擦りをした。
私だけあなたではないというのなら、いつまでも私だけのあなたになってもらえばいいのよね。
私はスノードロップと共に小屋に入っていった。
あなたは知ってるの?
スノードロップの花言葉にはね、こういう言葉のあるのよ。
「あなたの死を望みます」
今度はあなたが私だけのスノードロップに......
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