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一話 祓い屋
心から焦がれている人を思い浮かべながら、俺は犬、俺は犬だ、と自分に言い聞かせる。
犬だから、ご主人様のすべてを欲しいだなんて思わない。ご主人様の言いつけに従って言われたことをこなし、その対価に日々の糧を得る。
それで充分満足だ。満足なはずだ。
俺は犬。命令を遂行できなくなれば、きっと簡単に捨てられる。
俺は犬。あなたの優しさを受ける権利なんて、本当はないんだ。
犬は何も望まない。犬は忠実を破らない。
そうやって自分に言い聞かせていないと、あなたのことを、俺は――。
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