コンシェルジュとキヌコさんの容姿

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コンシェルジュとキヌコさんの容姿

木曜日、 キヌコさんは、新規の契約者  東田様のマンションに到着した。 「凄いですね……」 とマンションを見上げるキヌコさん 自動ドアが開き、エントランスロビーに 入った。 「まるでホテルみたい……」 と呟いたキヌコさんは コンシェルジュがいるカウンターに 向かった。 「あのう、今日から東田様のお宅を  訪問させていただくことになった、  ニコニコ家事代行サービスの  キヌコと申します」  と言うとキヌコさんは  コンシェルジュに身分証明書を提示した。 コンシェルジュは、キヌコさんの提示した 身分証明書に貼ってある キヌコさんの顔写真と 目の前にいる彼女の顔を見比べると、 ニコリと微笑み、 「はい、東田様より承っております  私は、コンシェルジュの林と申します あと、コンシェルジュは数名おりますので その都度ご紹介すると思います」 と言った。 「そうですか。よろしくお願いします」 とキヌコさんが言った。 「それでは、このマンションのことを   ご説明致しますのでこちらに……」 と言うと、コンシェルジュは カウンター奥の個室に   キヌコさんを案内した。 部屋に入ったキヌコさんは、 このマンションの説明を受けた後、 秘密保持の誓約書にサインをした。 コンシェルジュは、キヌコさんに 東田様の部屋のカードキーを渡すと、 「お仕事が終了しましたら、  毎回 返却してください   これを持ったまま 外に出ますと、  ブザーが鳴りますので、  気を付けてくださいね」と言った。 キヌコさんは、カードキーを受け取ると、 「ありがとうございます。  これから よろしくお願いします」 言うと、EVに向かって歩いて行った。 コンシェルジュの林は彼女の後ろ姿を 見送る。 彼の背後から別のコンシェルジュが 声を掛けた。 「東田様のお宅に入る 新しい方?」 「ああ、そうだ キヌコさんって言うんだ」 「あの容姿から見ると、  ベテランさんみたいだな」 「そうだな。あれなら、大丈夫だな」 と林が呟いた。 綿あめのような たてに伸びる フワフワした少し茶色の髪の毛、 いわゆる、アフロへアもどきの髪型。 首元には赤いベーズリー柄のバンダナを 巻いて、 胸元には、小さなにこちゃんマークの ロゴ入りの薄桃色の襟なしトレーナー、 その下には黒いスラックス、 足元はスニーカーを履いて、 肩から下げた大きなトートバックと 首から下げられた身分証明書。 これが、キヌコさん 六十三歳。  
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