5人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
2.テニスサークルに入る
「やぁ、立花さん! 入会の手続きに来てくれたんだね。嬉しいよ、ありがとう」
ああ、もう城本先輩ったらかっこいい! 都会風にワックスでセットしたちょっと長めの髪型も、洋服もセンスが良くて素敵。こんなスマートな人が彼氏だったら、街を歩いていて羨望のまなざしで見られちゃうかも? なんてね。
手続きの間中、舞はどこか不機嫌だった。せっかく教えてくれている城本先輩にもツンケンした態度を取っちゃって、私達が二人とも感じ悪いって思われちゃったらどうするの~?
それから、私たちのキャンパスライフが本格的に始まった。
授業にはもちろん皆勤賞で出た。慣れないレポートに戸惑ったけど、そんな時は舞と協力して乗り越えた。サークル活動も順調で、空いている日には隙間時間に出来るバイトアプリを利用してアルバイトもした。
毎日が充実していて楽しかった。こんなにキラキラした時間を過ごせるだなんて、夢みたいだった。東京に出てきて良かったって、私は心の底から思っていた。
半年後、季節は秋になっていた。
「ねぇ、アリサちゃん舞ちゃん、今度の飲み会参加する?」
城本先輩からサークルの飲み会のお誘いだった。
「もちろん行きます! ね、舞?」
「ああ、行っても良いですけど、私達未成年なんでアルコール類はNGですよ?」
舞は相変わらず城本先輩には冷たかった。でも、城本先輩は大人だから、そんな舞の態度も気にしていないようだった。
「OK、じゃぁ参加で決まり! 明後日の十九時に、新宿の〇〇って店で!」
「はーい♡ 楽しみにしています♡」
城本先輩が立ち去ると、舞は眉間に皺を寄せてこう言った。
「ねぇ、アリサ。あんなチャラい男のどこが良いって言うの?」
「だーかーらー、城本先輩はチャラくないってー!」
私は頬をリスみたいに膨らませて反論する。
「城本先輩は、チャラいんじゃなくて物腰がスマートなの!」
「そうかしら? サークルの女子連中とけっこう寝てるって噂よ?」
「噂は噂でしょ? 真実かどうか分からないでしょ? 私は城本先輩が真面目な人だって信じているもの」
私はそう言ったけど、心の中は不安でいっぱいだった。
城本先輩が次々と女の子に手を出してるって本当だろうか? でも、城本先輩が女の子と連れ立って歩いているのなんて見た事がなかった。いつも男子の仲間と一緒で。だから、私は城本先輩を信じたかった。
最初のコメントを投稿しよう!