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3.疑惑の飲み会
「「「「「××大学テニスサークルにかんぱーい!!」」」」」
飲み会の日、私は今日も城本先輩の隣をゲットした。アルコールはまだダメだから、「酔っちゃった♡」って出来ないけど、この雰囲気だけで酔えそうだわ。
「ほら、アリサちゃん、どんどん食べて。このエビのオードブル美味しいよ? それと、ノンアルカクテルもたくさん置いてあるから好きなものを頼んでね」
あーん、もう、城本先輩の紳士―!!
こんなに親切で優しい先輩が、女の子をとっかえひっかえして寝てるだなんて嘘よ。あれは舞の思い違いだわ。
一時間、二時間と時間が経つと、先輩達は大分酔ってきているようだった。城本先輩は……酔っても乱れないのよね。やっぱりスマートだわ。
それにしても、何だかかったるくて眠くなってきた。昨日はそんなに夜更かししていないんだけど、おかしいな……。
「アリサちゃん? 何だか眠そうだけど大丈夫?」
城本先輩……。
「な、何だか眠くって……どうしよう、舞を……」
隣にいたはずの舞は、今は別のテーブルに居た。
「アリサちゃん、ちょっと外の風に当たりに行こうか?」
城本先輩は私に肩を貸してくれて、お店の外に出る事にした。
「タクシーで送ってあげようか?」
「いえ、ちょっと休めば大丈夫ですから……」
「顔色真っ青だよ? やはり僕が送ろう」
先輩はタクシーを止めると、私を乗せてくれた。
「〇△ホテルまで」
え・・・・・・? ホテル? ホテルって何? 私をアパートまで送ってくれるんじゃないの……?
「ちょっと休まないとね、アリサちゃん」
ちょっと待って……ホテル、ホテルはダメよ。私、まだそんな心の準備出来てないし。城本先輩の事は憧れてるけど、でもまだ身体まで捧げられない……。
でも、私は眠気で先輩に反論できない。どうしよう、このままじゃ私、バージンを奪われてしまう。
タクシーは五分くらいでホテルに着いた。先輩が私を抱えるようにしてホテルに入ろうとする。
「もう少しでベッドで休めるからね」
ダメ……それはダメよ、先輩……助けて……誰か……。
「ま、待って下さい、私、そんな……」
その時だった。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
大声が聞こえた。……この声は……舞?
「あんた、城本! アリサをホテルに連れ込んでどうするつもりよ!? そんな事私が許さないわよ!」
舞が先輩の手を私からどけて突き飛ばす。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、舞ちゃ……」
「舞ちゃんなんて気軽に呼ばないで! さぁ、帰るわよ、アリサ!」
城本先輩は呆然としている。ごめんなさい、先輩。先輩の事は好きだけど、私、身体の関係とかそんな事考えた事も無かったの。
アリサは素早くタクシーを止めると、私をぎゅうぎゅうと中に押し込めて、そしてアパートに帰った。
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