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1.上京した私達は
私と舞はいつも一緒だった。幼稚園から小学校、中学、高校、大学まで一緒だ。幼い時から、ずっと一緒に居るのが当たり前だった。私にとって、舞は大切な親友で。上京して東京の大学に入ると決まった時は、舞も一緒だったから心強かった。
「んー! 東京って秋田と全然風景が違う! 見てよ舞、あれが噂の渋谷スクランブル交差点よ!」
「もう、アリサったら、あんまりはしゃいでると私達がお上りさんだってバレるわよ~!」
舞はロングヘア―をなびかせて軽やかに笑う。仕方ないじゃない。だって、楽しいんだもの。東京に来てから、毎日が新鮮で、新しい景色に新しい学校、舞と部屋が隣同士のアパートでの一人暮らしに、何もかもが楽しかった。
「ねぇ、舞、私、テニスサークルに入ろうと思うの」
「てにすさーくる~? 軽い先輩ばっかり居そうじゃないの」
「だってー、勧誘してきた先輩がすっごくかっこ良かったんだもの!」
「城本先輩って言ったっけ? あんなもやしみたいなの、どこがいいのよ?」
「もやしじゃないわよー! スマートって言って! あんなにかっこ良くて洗練された男の人、私達の周りには居なかったじゃない? もう一目惚れよ! だから、ね、舞、お願い♡」
「やれやれ、私がアリサのお願いは断れないって分かってて言ってるわね……」
舞は半ば呆れながらも私の要望に応えてくれた。明日、さっそくテニスサークルに入る手続きを使用。きっと素敵な恋が私を待ってくれているんだわ!
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